足場の種類と名前をまとめて解説!建築現場のための足場用語集
建設現場で欠かせない「足場」は、安全な作業環境を確保するために必要不可欠な設備です。しかし一口に「足場」と言っても、その種類や構造、使用する部材には多くの名前と役割があります。
この記事では、足場の代表的な種類から、部材ごとの名称と役割まで、初心者にも分かりやすくまとめてご紹介します。
足場の種類と特徴
足場には複数の工法が存在し、工事の内容や建物の高さ、現場環境に応じて適した種類を選ぶ必要があります。以下は代表的な足場の4種類とその特徴です。
| 足場工法 | 特徴 | 使用現場 | 別名 |
|---|---|---|---|
| くさび式足場 |
ハンマーで組み立て可能 住宅・低層建築に多い |
木造住宅、低層マンション、リフォーム現場など | ビケ足場(製品名由来) |
| 枠組足場 |
鉄骨建築など中高層建物向け 安定性・耐久性あり |
中高層建築(10m~45m)、大規模修繕工事、公共工事など | 枠足場 |
| 単管足場 |
単管パイプ+クランプ 自由度が高く狭小地向き |
狭小地、仮囲い、外構工事、設備メンテナンス、短期施工現場 | 仮設足場などで多用 |
| 次世代足場 |
軽量・高強度・安全性UP 施工効率に優れる |
高層建築、病院・学校・大型物流施設など安全重視の現場など | IQ、アルバトロス等製品名 |
足場の種類についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
足場部材の名称と役割
足場はさまざまな部材によって構成されており、それぞれに明確な役割があります。主要な部材の名称と役割について解説します。
| 部材名 | 別名 | 役割・用途 | 備考・注意点 |
|---|---|---|---|
| 支柱 | 縦パイプ、スタンドパイプ | 足場の垂直構造を支える柱 | 足場の高さを決定する重要部材 |
| 布板 | 踏板、足場板 | 作業床として使用 | 鋼製・アルミ製が多く、滑り止め加工されているものも |
| 手すり | ガードレール | 作業員の転落防止 | 高さ85cm以上が安全基準の目安 |
| 中さん(ちゅうざん) | 中桟、中段手すり | 膝元の転落防止や道具落下防止 | 手すりとセットで使われる |
| 筋交(すじかい) | ベース | 構造の横揺れ防止 | 斜めに取り付ける金属パイプ |
| ジャッキベース | スターラップ | 高さ調整・地面の安定化 | 固定式と可動式あり。必ず水平を確保する必要がある |
| クランプ | 直交、自在 | 単管足場で管材を固定 | 自在=角度自由/直交=90度固定。ボルト緩み注意 |
| ブラケット | 出っ張り材、持ち出し | 作業幅を広げるための持ち出し部材 | 外側の荷重バランスに注意が必要 |
| 階段ユニット | ステップ、昇降階段 | 上下階への安全な移動手段 | 大規模現場では必須。滑り止め付きが望ましい |
| 隅つなぎ | スターラップ | 支柱の補強・安定化 | 取り外し時の忘れ物に注意 |
| 先行手すり | セーフティガード | 上階組立時に下から先に取り付ける手すり | 次世代足場では義務化されるケースもあり |
支柱(しちゅう)
支柱は、足場の構造を垂直方向に支える基本的な構成部材であり、すべての足場工法(くさび式・枠組・単管)で共通して使用されます。
足場全体の「高さ」を決める骨組みであり、荷重を地面に伝える役割も担います。支柱の設置が不十分だと足場全体が傾いたり、沈んだりするため、地面との接地面(ジャッキベース)と合わせて精密なレベル調整が必要です。
布板(ぬのいた)
布板は、作業員が足場上で立ったり歩いたりする「床」として機能する部材です。鋼製またはアルミ製が主流で、表面に滑り止めの加工が施されたものが多く、安全性の確保に直結します。
長さや幅にバリエーションがあり、現場の規模や作業内容に応じて選定されます。雨天時や傾斜のある場所では特に、布板の滑り止め性能が重要になります。
手すり(てすり)
手すりは、足場の外周上部に設置される安全柵であり、作業員の落下防止が主な役割です。一般的に、地上85cm以上の高さに取り付けられ、安全基準を満たすよう設計されています。
中さん(膝元手すり)とセットで設置されることが多く、両者が揃うことでより高い安全性が確保されます。特に次世代足場では、手すりを先に取り付ける「先行手すり方式」が採用されています。
中さん(ちゅうざん)
中さんは、手すりと布板の中間(膝元)に取り付ける横材で、別名「中段手すり」とも呼ばれます。人の転落や工具・資材の落下を防ぐ役割があり、安全対策として重要な部材です。
風の強い現場や高所作業では、工具が中さんを超えて落下しないように、さらにメッシュガードなどと併用されることもあります。
筋交(すじかい)
筋交は、足場構造の耐風性や安定性を確保するための斜め材で、構造に「X」または「V」の形に取り付けます。横揺れや捻れを防ぎ、足場全体の「剛性」を高める効果があります。
特に高層足場や風の強い地域、長期使用する仮設足場では、筋交の本数や取り付け角度の設計が安全性を大きく左右します。
ジャッキベース
ジャッキベースは、足場支柱の下部に設置される調整金具で、地面の凹凸に応じて足場の高さと水平を調整します。ネジ式で微調整可能な可動式タイプと、固定高さの固定式タイプがあります。
ジャッキベースの不均等な設置は足場全体の傾きや沈下を引き起こすため、使用時は必ず「レベル出し」を行うことが原則です。
クランプ
クランプは、単管足場において鋼管同士を連結・固定する金具です。主に以下の2種類があります。
直交クランプ:90度で鋼管を固定。支柱と布材などの基本的な結合に使います。
自在クランプ:自由な角度で固定可能。特殊な角度や変形構造に対応する際に有効です。
クランプの締め付けが甘いと、足場のぐらつきや落下の原因になるため、増し締め(トルク管理)を確実に行う必要があります。
ブラケット
ブラケットは、足場外側に張り出す形で取り付ける「持ち出し部材」で、作業幅の拡張に使われます。外壁塗装や外装パネル取付など、施工幅が広い場合にとても便利な部材です。
しかし、足場の重心が外側に移るため、取り付け位置や補強方法には十分な配慮が求められます。
階段ユニット
階段ユニットは、足場を上下に移動するための設備で、ステップが幅広く滑り止め付きの構造が一般的です。
ハシゴよりも安全性に優れており、高層や大型現場では必須の設備とされています。特に工具や資材を持ったまま移動する際には、階段ユニットの設置が作業効率と安全性を大きく向上させます。
隅つなぎ
隅つなぎは、足場と建物本体を「緊結」するための部材で、強風や地震などによる転倒を防ぐ補強の役割を担います。
特に建物の角や端部では、足場が一方向に倒れやすいため、隅つなぎの設置が推奨されます。取り外し忘れがトラブルになりやすいので、解体時には点検を忘れずに行います。
先行手すり
先行手すりは、上階の足場を組み立てる前に、下から安全柵を先に設置しておく方式の手すりです。墜落事故防止の観点から、安全基準として導入が進められており、次世代足場では標準装備となっていることもあります。
作業員が高所での手すり設置作業を行う必要がなくなるため、施工中のリスクが大幅に軽減されます。
特殊な足場部材
標準部材以外にも、現場に応じた特殊な部材があります。
| 部材名 | 役割・補足 |
|---|---|
| 張出ブラネット | 建物外に張り出す形で作業スペースを追加できる部材。幅広い作業現場に対応 |
| 鋼製階段 | 高層足場の昇降用。ステップが広く、踏み外し防止に有効 |
| パネル(メッシュ) | 転落防止・落下物防止用のパネル。特に高所作業で使用される |
| 支柱補助金具 | 高さ調整や地面不整地に合わせる補助部材 |
| キャスター付き支柱 | 可動式の移動足場(ローリングタワー)に使われる |
足場用語を正しく知ることの重要性
足場に関する部材や工法を正しく理解することは、現場作業の質と安全性を大きく向上させるうえで重要です。
例えば、「ジャッキ」と「ジャッキベース」を混同してしまうと、誤発注や施工ミスにつながり、部材が不足するなどのトラブルが発生します。また、「先行手すり」や「筋交」といった部材の役割や意味を正しく把握することで、事故のリスクを事前に回避し、安全性の確保にもつながります。
さらに、足場に関する正確な知識を共有することで、ベテランと若手の間で用語の認識にズレがあっても、共通の呼称を用いることで現場での意思疎通がスムーズになり、作業の効率化にも寄与します。
足場に関する部材や工法を正しく理解することで、現場作業の質と安全性は大きく向上します。
現場シートキングでは、こうした足場に対応した幕製品を取り扱っております。詳細は以下をご確認ください。