建設現場・工事現場に設置される足場とは?意味や種類についてご紹介
建設や工場などの作業現場では、作業を安全かつ効率的に進めるために「足場」が欠かせません。この足場には、作業を安全かつ効率的に進めるための重要な役割が担われています。このコラムでは、足場の歴史やその目的、さらにさまざまな種類と特徴について簡潔に解説します。
足場についての基礎知識が得られる内容となっていますので、ぜひ参考にしてください。
建設現場・工事現場における足場とは?
建設現場や工事現場における足場とは、高所作業を行う作業員の足場を確保するため、仮に組み立てた構造物のことです。工事関係者の安全を確保するための場所でもあり、「仮設足場」とも呼ばれます。
ひとえに足場といっても、さまざまな種類や特徴がありますが、足場は建物の建築・修繕・解体などになくてはならない存在です。
足場の歴史はとても古く、紀元前古代エジプトのピラミッド構築にも利用されていたそうです。
日本でも、古くから丸太を組み合わせた足場が使われ始め、20世紀になると鋼製の足場が組まれるようになりました。戦後には鋼製単管足場が登場し、現在では工事の内容に適した足場が組まれています。
足場を作る目的
建設現場や工事現場で足場を作る目的は、大きく分けて以下の3点です。
- 高所の作業を安全に行える
まず、足場を使うことで、人や資材の落下を防止につながり、高所作業の安全性が高まります。
- 作業を効率的に行える
適切な足場を設置すれば、高所や現場内で移動しやすくなり、作業効率も向上するでしょう。
- 近隣への影響を防げる
塗装中の塗料や解体時の埃・破片が飛んで、ご近所の建物や車、洗濯物を汚してしまわないように、足場にはメッシュシートを取り付けてしっかり養生します。
なお、労働安全衛生規則(以下安衛則)で「事業者は、高さが二メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く。)で作業を行なう場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない」と、定められています。
このように、しっかりとした足場を作ることは作業員の安全確保になり、そのうえで作業・工事の生産性が高まるのです。
近隣への影響を防げるというのは、工事や作業による飛散物・落下物の抑止、また騒音の防止を意味します。なお、周囲の安全を守るため、足場には必ず養生を行うのが通例です。
足場の種類と違いについて
足場の種類と違いについて、以下4つを解説します。
- くさび緊結式足場(ビケ足場)
- 単管足場(一側足場)
- 枠組み足場
- 吊り足場
それぞれに特徴やメリットがありますので、参考にしてください。
くさび緊結式足場(ビケ足場)とは
くさび緊結式足場は、別名ビケ足場とも呼ばれ、組み合わせた結合部分にくさびを打ち込みながら組み立てる足場です。大きな特徴として、ハンマー1本で簡単に足場が組み立てられる、というメリットがあります。
以前は木造家屋など、低層住宅工事用の足場として多く使用されていました。
最近では、中層建築工事用や高層建築物の外壁の塗り替えなど、短期間の補修工事でも使われるケースが増えています。
組み立てやすいというメリットがある一方、くさびを打ち込むときの音が大きく響きやすいというデメリットもあります。くさび緊結式足場を組み立てる際は、騒音にならないように、近隣に対して十分配慮しつつ作業しましょう。
単管足場(一側足場)とは
単管足場(一側足場)は、鉄パイプ(単管)をクランプでつなぎ合わせて組む足場です。自由に組み合わせられるため、さまざまな形状の足場が作れます。
狭い現場に適した足場で、低層階の外壁・塗装工事などでよく使用されています。また、プラント工場など、入り組んだ場所での作業にも適しており、汎用性が高いです。
足場の材料である鉄パイプ(単管)やクランプは、ホームセンターなどでも販売されています。そのため、必要な時に購入して、すぐに組み立てられるのもメリットです。
ただし、単管足場は構造がシンプルなため、ほかの足場と比較すると耐久性が低いことがデメリットとして挙げられます。安全面を考慮すると、高層階の工事や作業には不向きな足場です。また高層階に限らず、足場に乗る人・材料・機材など、重量にも注意しなければいけません。
枠組み足場とは
枠組み足場は、45メートルの高さまで組み立てられる、大規模な工事に適した足場です。そのため、高いビルや大型商業施設、学校や公共施設などの、建築・修繕・解体工事に多く利用されています。
足場の構築には、鋼製布板や建枠、筋交い、ブレス、ジョイント、アンチ、ジャッキベース、階段枠、手すり柱など、さまざまな部品を使用します。それぞれ部品化されていて組み立てが容易なうえ、耐久性もあり、しっかりとした足場を組めることがメリットです。
また、くさび緊結式足場のように組み立てにハンマーを使わないため、騒音があまり出ないといった利点もあります。
吊り足場とは
吊り足場は、上から吊り下げるタイプの足場であり、他の足場とは特徴が異なります。
鉄骨の梁などに吊り材を設置することで、吊り下げた作業床を支える、という構造です。そのため、プラントや橋梁、ビルの吹き抜けなど、地面に足場を組めない場所でも設置できるのが大きなメリットだと言えます。
ただし、他の足場に比べてやや設置の難しい足場なのが難点です。なお、設置する高さに関わらず、「足場の組立て等作業主任者」の選任が必要になります。
また、大別すると「吊り枠足場」と「吊り棚足場」の2つがあり、状況に合わせた使い分けも大切です。
足場の組み立てに携わるには
足場の組み立て作業は高所での安全な作業空間を確保するための重要な役割を担っており、専門的な知識と技術が求められます。では、足場の組み立てに携わるにはどのようなステップが必要なのでしょうか。
まず基本となるのが「足場の組立て等特別教育」の受講です。これは、安全に作業を行うための知識や基本的な技術を学びます。未経験からでも受講でき、足場作業の入門として広く活用されています。
さらに、実務経験を3年以上積むと「足場の組立て等作業主任者」の資格取得が可能になります。こちらは現場の責任者として作業の指揮や安全管理を行う立場で、より高度な知識と判断力が求められます。安全な施工を行うためには、この主任者の存在が不可欠です。
加えて、2019年からは高所作業時の安全対策として「フルハーネス型墜落制止用器具特別教育」も義務化されており、高さ2m以上の場所で、作業床の設置が困難な場合にフルハーネス型を使用する作業を行う労働者が必ず受ける必要があります。
足場の組み立て作業は、体力やバランス感覚が必要な場面も多いですが、仲間と連携して作業を進める達成感や、構造物が完成する過程を支えるやりがいも大きな魅力です。安全第一の精神を持ち、経験を積んでいくことで、着実にステップアップできる職種と言えるでしょう。
まとめ
今回のコラムは、足場とは何か?ということをはじめ、足場を作る目的、足場の種類と違いについて解説しました。建設現場や工事現場で必要不可欠な足場について、基礎的な知識の確認などにお役立てください。
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